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横浜市青葉区の小児科

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院長コラム

2020.08.18

おたふくかぜと難聴

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は、2~3週間の潜伏期間の後にムンプスウイルスによる耳下腺(耳の下)の炎症(痛みと腫れ)が現れる感染症です。感染してもその多くは後遺症を残さず軽症で終わります。また不顕性感染といって症状が出ない(知らないうちに感染している)ことも約1/3にあると言われています。
しかし、ムンプスウイルスが内耳(耳の奥)に感染してしまうとムンプス難聴を合併します。

≪ムンプス難聴≫
日本耳鼻咽喉科学会は、2015年からの2年間にムンプス難聴を発症した方は348人、そのうち300人近くの方が後遺症として難聴が残ったと報告しています。注意すべきは、約90%の方が高度難聴(会話のみならず周囲の状況がわからい程)となってしまったことです。年齢別では、学童期に最も多く、次いで子育て世代である30歳台に多く認められました。
難聴になってしまうと普段の会話が聞き取りにくくなるだけでなく、音への反応が鈍くなったり、耳鳴りやめまいを合併したり、コミュニケーションにも支障が出てしまうこともあります。

≪予防≫
ムンプス難聴の最大の予防法はおたふくかぜワクチンの接種です。現在は任意接種ですが、1歳時と就学前のMRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)と同時期に接種することが推奨されています。
ムンプス難聴を予防するためにも、2回のおたふくかぜワクチンを接種しましょう。

2020.07.19

子どもの熱中症

関東地方も来週頃には梅雨が明けると思われますが、今年の夏は例年よりも猛暑となる予報です。これからの季節、熱中症に注意が必要です。
高温多湿下に長時間いることで多量の汗により体内の水分や塩分が失われしまったり、熱がこもって体温が上昇してしまうことで熱中症になります。

≪子どもが熱中症になりやすい特徴≫
①体温調整が未熟
 高温下では通常多量の汗を出し体温を下げようとしますが、子どもは発汗能力が未熟のため高温下では汗が十分に出ません。その結果、体内に熱がこもってしまい大人よりも高体温になりがちです。
②地表に近い
 夏の路面温度は60℃以上になります。そのため路面により近いベビーカーや子どもでは大人よりも路面から放出される熱(赤外放射)の影響をより受けやすくなります。1.5 mの高さで気温32℃の時、50 cmの高さでは35℃を超えることもあります。
③気付きが遅い
 子どもは自分で体調の変化に気が付いたり訴えたりできません。そのため急にぐったりしたりすることも多いです。

≪子どもの熱中症を予防する≫
①規則正しい生活習慣
 3食しっかりと食べ、早寝早起きをして規則正しい生活習慣を継続しましょう。
②こまめな水分補給
 イオン飲料(スポーツドリンクや経口補水液)をこまめに与えましょう。イオン飲料が飲めない子には水やお茶に加えてスイカやバナナを食べてもいいです。最近は塩分補給タブレットなども売っています。
③こまめな休憩
 芝生や土の上では地面から放出される熱(赤外放射)は舗装面よりも少ないですが、日射(日差しによる熱)は変わりありません。こまめに日陰で休息し、風(うちわや扇風機、クーラー)に当てて体温が下げましょう。
④衣服の調整
 通気性の良い服装をして、熱を吸収しやすい黒色系の洋服は避けましょう。また帽子をかぶせましょう(時々帽子を脱がせて通気も必要)。
⑤ベビーカー
 長時間のベビーカーは通期も悪く地面からも近いために体温上昇をきたしやすいです。赤ちゃんの様子を時々見ながら、日陰で赤ちゃんをベビーカーから出してあげましょう。
⑥子どもの様子観察
 遊んでいる動きが遅くなったり、転びやすくなったり、無口になったり、赤ら顔になったら要注意です。重症化しないためにも、こまめに様子を見てあげましょう。
⑦マスクについて
 熱中症のリスクが上がる可能性があります。乳幼児(特に2歳未満)のマスク着用は普段から要注意ですが、高温下に屋外で人と十分な距離が保てる場合(少なくても2 m以上)はマスクを外すようにしましょう。(厚生労働省「新しい生活様式」より)

≪熱中症かな?の時≫
 涼しい場所に寝かせて、風を送り全身を冷たい濡れタオルで拭く、首やわきの下の太い血管を氷で冷やす、イオン飲料を少量ずつ服用させるなどの処置をします。
 *意識が薄れたり、けいれん、高体温(40℃以上)が1つ以上あれば救急車を呼んで病院を受診しましょう。

2020.07.13

漢方薬について①

漢方とは、2000年以上前から中国で行われてきた医療(中医学)が江戸時代に日本へ伝来して日本独自に発展してきたものです。現在一般的に使用されている薬(現代薬)ができる前のお薬です。
現代薬は構造が明確な化学物質からなり、作用機序(薬効)が明らかです。一方、漢方薬は非常に多くの有機化合物や無機化合物で構成されているため主な生理活性物質は解明されているものの様々な作用機序(薬効)があり、その配合により作用機序(薬効)が変わることもあります。
従って、漢方薬の効果は一つではなく体に様々な作用をもたらします。

「同病異治(どうびょういち)」とは同じ病気や症状でも、体力や体質のより異なった漢方薬で治療すること、「異病同治(いびょうどうち)」とは異なった病気や症状も同じ漢方薬で治療することです。例えば葛根湯は「かぜ」以外にも「頭痛」や「肩こり」、「蕁麻疹」に使用することもあります(異病同治)。
これは漢方薬治療に特有のもので、患者さんそれぞれの体質に合ったお薬を処方するいわゆるオーダーメイド治療です。また同じ患者さんでも治療経過によって体質が変わっていきますので、同じ症状でも時に違った漢方薬が有用となることもあります。

2020.06.25

乳幼児のマスク

乳幼児のマスク着用について日本小児科学会から以下の提言が出されています。

***乳幼児のマスク着用には危険があります。特に2歳未満の子どもでは、気を付けましょう。***

乳幼児は、自ら息苦しさや体調不良を訴えることが難しく、自分でマスクを外すことも困難です。また、正しくマスクを着用することが難しいため、感染の広がりを予防する効果はあまり期待できません。むしろ、次のようなマスクによる危険性が考えられます。

◎呼吸が苦しくなり、窒息の危険がある
◎嘔吐した場合にも、窒息する可能性がある
◎熱がこもり、熱中症のリスクが高まる
◎顔色や呼吸の状態など体調異変の発見が遅れる

 特に2歳未満の子どもではこのような危険性が高まると考えられます。

子どもがマスクを着用する場合は、いかなる年齢であっても、保護者や周りの大人が注意することが必要です。感染の広がりの予防はマスク着用だけではありません。保護者とともに集団の3密(密閉、密集、密接)を避け、人との距離(ソーシャル・ディスタンス)を保つことも大切です。

≪参考≫
米国疾病予防管理センター(CDC):赤ちゃんや2歳未満の子どもには、窒息の恐れがあるため、顔を覆う布(マスク)を使用しないでください。
米国小児科学会(AAP):2歳未満の子どもには顔を覆う布(マスク)を使用しないでください。

2020.06.24

5月病、6月病

5月病は聞いたことがあるかもしれません。4月に新年度が始まり緊張が持続した結果、疲労が溜まって1ヶ月ほどしてから様々な症状が出現します。
これはいわゆる急性の適応障害であり病気の名前ではありません。症状としては軽微な頭痛や腹痛、食欲低下、めまい・立ち眩み、朝起きられないなどが多いです。

6月病はそれらが慢性化した症状(慢性化した適応障害)として近年指摘されています。上記症状が強くなり不登校や登園渋りにまで発展することもあります。
慢性化してしまうと本人も家族も辛い思いをしますし、登校できなくなると再度登校するのにかなりの勇気がいります。

長期の休み明け(今年は緊急事態宣言により時期が遅れたので7月頃、夏休み明けの9月頃)には、お子さんの様子に変化がないか特に注意深く観察してあげてください。
少しでもおかしいと思ったら無理せず休養し、お子さんの話をよく聞いてあげてください。
それでも改善しない辛い症状がある場合は、一度ご相談ください。